Azure Storage で静的ウェブサイトを 1 か月間運用した費用

Azure Storage で静的ウェブサイトを 1 か月間運用した費用

以前、Azure Storage のウェブサーバー機能を用いて公開ウェブサーバーを立てる記事をご案内しました。

こちらの記事内では、「理論値では月額十数円で運用可能」という解説をさせていただきましたが、じゃあ実際に運用したらいくらかかるのさ、ということで、1か月実際に運用してみました。

実際に運用した静的ウェブサイトはこちらになります。

WordPress から生成した HTML で、不必要なファイルを削った結果、上記の状態で約 4 MB ほどのサイズ感です。

以前、別のサイトで静的 HTML で書き出した際も 10 MB ~ 15 MB くらいでしたので、そんなに写真や記事の多くない企業サイトであれば、5 ~ 10 MB で収まるのではないでしょうか。

以上のサイトを1か月下記の諸条件で運用してみました。

  1. Azure Storage + Azure CDN でウェブサイトを構成
  2. ウェブサイトは上記で説明したとおり約 4 MB の 静的 HTML + JPG
  3. 15 分に一度アクセスを生成(つまり 1 時間で 4 アクセス=1 日 96 アクセス=月に 2,880 件のアクセス

そして、1か月運用した結果の請求書がこちらです。

Azure 請求書 サービスごとのコスト
Azure 請求書 サービスごとのコスト

請求書だとちょっと細かすぎるので、分析画面からのデータを掲載します。

Azure コストの管理と請求 コスト分析画面
Azure コストの管理と請求 コスト分析画面

結論から言うと、ストレージの料金で 0.04 円。そして CDN の料金で 25.31 円。
合計 25 円/月でウェブサーバーが運用できました。

CDN の通信料が大半ですね。Storage の保存料金・CDN への通信料なんか 1 円もかかってません。

いかがでしょう。メールの機能や WordPress などの動的なホスティングはできませんが、他の一般的な商用ホスティングサーバーと比べ相当安い価格が実現できているかとおもいます。

余談ですが、ストレージの種類を変更してあげると、より効率的に運用が可能です。

Azure Storage には、ホットとクールという2種類のタイプがあり、アクセス層をクールにすると、データにアクセスする際は割高になりますが、保存金額は安くなります。今回のように CDN を介し、かつデータの更新がほぼ無いに等しいウェブサイトの場合、ホットよりもクールのほうが割安になります。

Azure Storage ホットとクール

参考までに価格表の抜粋を用意しました。下記以外にも課金要素はありますので、あくまでも参考までにという事で。

ホットクール
ストレージ料金¥2.24/GB¥1.68/GB
書き込み操作 (10,000 単位)¥5.60¥11.20
読み取り操作 (10,000 単位)¥0.45¥1.12

おおよその金額は Azure 計算ツールで見積もることが可能です。

こちらの Build Insider さんの記事で、大規模な環境で Azure Storage を利活用されている例が掲載されていますが、680 MB のデータ、 1,600 万トランザクションの運用でも 4,000 円を切る費用で運用されているようです。

なお、ストレージを構成するにあたり設定が必要な「レプリケーション」ですが、クリティカルなデータを扱っている訳でもなく、手元にはオリジナルの HTML データがありますので、一番安いローカル冗長で問題ありません。

何年も前に作って更新もしていない企業ウェブサイト・個人ウェブサイトに月々数千円払っているケースを多く知っていますが、更新しないのであれば、上記のように月々数十円で運用することができますので、場合によっては引っ越しを検討されてみても良いのではないでしょうか。