マーケティング担当者が助かる PC のクローニング (2) – フルイメージバックアップ
前回の記事で WinPE の USB ディスクを作成するところまで進みました。
今回はその WinPE を実際に使って作業を行います。
USB メモリからの WinPE の起動
USB メモリから OS を起動させるには、PC の BIOS や UEFI などといった機能で、通常ハードディスクになっている起動デバイスを USB ディスクに設定してあげる必要があります。
今回実験に使った HP Probook 450 G5 という機種は、USB ディスクを差し、電源 ON 後に F9 を押してあげると起動デバイスが選べるようになる機種でした。
基本的に起動デバイスの変更関しては機種/メーカーごとに異なりますので、各 PC のマニュアルなどを参照してください。
無事 USB の OS 読み込みが成功すると、WinPE が起動します。WinPE はWindows Preinstall Environment の略で、Win32 アプリが動作する最小限のWindows 環境です。
無事 WinPE が起動すると、コマンドプロンプト画面が表示されます。これが WinPE の操作画面となります。
参考までに、WinPE は起動時に メモリ上に RAM DISK を作成し X ドライブとして割り振ります。X ドライブに WinPE の起動に必要なファイルをコピーし、そしてその X ドライブから自分自身を起動させるという、とんでもなくトリッキーなことをしております。
しかしこの仕組みのお掛けで WinPE が起動したら USB ディスクを取り外したりもできます。なぜなら起動デバイスはメモリ上の X ドライブなので。
ハードディスクのフルイメージバックアップ
マスター PC に対してカスタマイズ作業に入る前に、いつでも初期状態に戻せるように、マスター PC の初期状態のハードディスクイメージをフルバックアップしておきましょう。
こうしておけば、レンタル PC などもいつでも借りた状態で返却することができます。
WinPE には、DISM というイメージ管理ツールが入っています。この DISM を使うことでハードディスクのフルイメージをキャプチャすることができるのですが、操作にあたり、まずマスター PC のディスク構成を調べましょう。
WinPE のコマンドプロンプトに以下のコマンドを入力します。
WMIC DISKDRIVE LIST BRIEF
すると画面上に現在の PC のドライブ構成情報が一覧表示されます。
よほどの例外がない限り、\\.\PHYSICALDRIVE0 が、もともと Windows が格納されているハードディスクとなるかと思います。
それでは、この \\.\PHYSICALDRIVE0 のフルイメージバックアップを取ろうと思います。以下のコマンドを実行してください。
DISM /Capture-FFU /CaptureDrive=\\.\PHYSICALDRIVE0 /ImageFile=E:\factoryimage.ffu /name:"Factory" /description:"Factory Image FFU"
プレインストールされているソフトウェアやハードディスクの構成によっては USB ディスクの空きスペースだと足りない場合があります。ネットワーク共有に接続する、外付けハードディスクを別途つなぐなど、ハードディスクのサイズと相談しながら作業を行ってください。
参照 – DISM FFU の技術情報:
https://docs.microsoft.com/en-us/windows-hardware/manufacture/desktop/deploy-windows-using-full-flash-update–ffu
コマンドが無事終了すれば、リカバリ領域なども含んだハードディスクのフルイメージをキャプチャできたことになります。これでいつでも初期状態に復元することが可能です。
復元する際は、同じく DISM を使い、以下のコマンドを実行します。
DISM /Apply-Image /ImageFile:E:\factoryimage.ffu /ApplyDrive: \\.\PhysicalDrive0
以上、今回は WinPE での起動と初期イメージのバックアップを実施しました。